批評(ex.goma油)

批評(ex.goma油)

趣味の批評をしてみたいと思いました。

おとなのポップンミュージックの版権曲を考える~45ポ⑦

 

ある日、空からこんな声が聞こえた。

お前に【おとなのポップンミュージック】の版権曲を決めさせてやろう……

声の主が誰なのかはわからないが、どうやらどこかの世界で【おとなのポップンミュージック】という音ゲーが出るので、そこに収録する版権曲を選べということらしかった。

【おとなのポップンミュージック】は、その名の通り大人のためのポップンミュージックなので、年齢を気にすることなく、各自それぞれが生きてきた人生を踏まえて、好き勝手に版権曲を選んで良いということだった。

ただし、5曲までとする

あ、そうなんだ。

それでは、1977年生まれの俺の【おとなのポップンミュージック版権曲】は、これだ。

 

1曲目:釈迦(筋肉少女帯

いやいきなり再録かよ。

という話ですが、この曲やっぱり好きだし叩いていて楽しいよね。バンドのグルーヴが微ズレの嵐となって難しさにつながるっていうのがとてもいい。人間を感じる。

曲と譜面が一体となった、音ゲーとしても名曲だと思う。確か42初クリアだったのも、思い入れがある理由。

 

2曲目:黒いブーツ~Oh my friend~(SOPHIA

まずイントロのシンセサイザーがとてもいいから叩きたい。あとベースが入ってくるところもいい。叩きたい。

ポップンって速い曲が印象に残るけど、遅めの曲の音を確かめるように大事に叩くほうが好きなのかもしれない。

それとやっぱり曲が好き。カラオケでも歌っちゃう。

 

3曲目:N.O.(電気グルーヴ

改めてポップすぎて驚く。あとこのPVがさすがすぎる。

シンセや打ち込みの音を叩きたいのもさることながら、後半のラップに合わせて縦連打しまくる譜面にしたい。電気ってやっぱり、ルサンチマンや衝動をこの音と結び付けたというのがほんとにすごい。

 

4曲目:青すぎる空(eastern youth

本末転倒だが、この動画がとにかくいい。

ゆっくり目の曲なので、ポップン的には音を大事に鳴らす系の譜面になるだろう。

「かかる暮らしの味気なさ」の部分はぜひボーカル一音ごとにポップ君を配置してほしい。そしてラウドなベースとドラムの音は、ゴリゴリの同時押しがいい。

 

5曲目:格好悪いふられ方大江千里

まさか、

幸せかい

傷ついてるかい

あの日の夢を生きているかい

という歌詞がこんなに残るとは、中学時代には思わなかったな。

 

総評

やっぱりポップンって、一打一打に思いを込めている時が一番気持ちいいと思うわけです。前回「エモーションは若者の特権だ」みたいなこと書いたけど、いくつになっても自分の思い入れを指に込めて、筐体に刻み込むようなゲームがしたい。と、改めて思った。

45歳にとってポップンミュージックとは何だったか~45ポ⑥

 

音ゲーに初めて出会ったのは、初代DDR。その頃20歳の大学生だった。クラブカルチャーに馴染みもなく、ただのゲーム好きな男の子だったので、ダンスミュージックに合わせて身体を動かすのがこんなにも楽しいのかとのめり込んだ。

Butterflyとかドゥビドゥビみたいなサビがポップな曲は楽しかったし、パラノイアには心の底から絶望した。

その後、5鍵ビートマニアIIDXを経て、ポップンミュージックと出会うことになる。おそらくポップンミュージック4が初プレイだと思うが、はっきりハマったのは5の頃、アニメヒロインを筆頭に今でも記憶に残る曲ばかりだけど、それはきっと誰でも最初の感動を忘れないのと一緒で、みんなそれぞれに心に残るポップンがあるはず。それが私の場合は5。

女の子は 魔法の扉を
叩いて 恋が始まるの

こんな曲に合わせてノリに乗っている男子大学生って、いま思えば相当アレだな。いや、現在同じことしている方がまずいか。

当時感じていたのは、ポップンミュージックビートマニアよりポップでエモーショナルだなあということだ。グッとくる版権曲に力を入れていたし、歌詞のある曲が多かった(今も)というところも、元々コアゲーマーではなく音ゲーへの入り口としてデザインされた感じがする。

その頃5鍵で好きだった曲もこれ(Jack and Mark Get Busy!)とかDEEP IN YOUだし、演奏に感情が入る方が気持ちいいと思ったんだろうな。

www.youtube.com

 

だから、ポップンに復帰してからは「腰が入る曲」がないなあと思っている。今の世代にはきっと刺さっているのだろうから、ボカロもいいと思う。

いや、でもしょうがないよね。45歳だし。むしろ45歳に刺さる曲入れちゃいけないと思うしな。「青臭いメッセージに大人が共感しちゃダメだ」って昔聞いたときに「そんなことねえだろ」って反発したけど、実際年取るとそう思う。

これは別に青臭さを否定しているんじゃなく、むしろすごくすごく好きだったし肯定していたからこそ、大人は退場しなきゃいけないという感覚。その特権は十分に若い人に味わってほしいからだ。

若さはやっぱりエモーションだからだ。

そしてそんなエモーションを与えてくれたポップンミュージックは、本当に最高だった。という話。

 

(つづく)

ポップンのLIFTについて考察~45ポ⑤

 

UniLabから、ポップンでもLIFTが設定できるようになった。

気になっていてもなかなかどうやって設定すればいいか迷ったので、前回こんなツールを作ってみた。

ポップンLIFT値設定ツール(β) - 批評(ex.goma油)

 

まず何が迷うって、IIDXと違ってプレイ中に設定を変えられないことだ。これほんとに何とかしてほしい(いや、それで工数が跳ね上がるなら何ともしなくていいです)。プレイ中に微調整できるならまだやってやろうという気にもなるが、それができないのでオプション画面でギャンブル設定して試さないといけない。

これでは普及が進まない。

というわけで突貫でツールを作ってみたんだけど、良くプレイしている「LIFT-55でHS480」っていう設定がLIFTなしの適正BPMに近かったので、どうやら自分は運良くいい設定に巡り合えたのだ、ということがわかってそれだけでもよかった。

で、ポップンにおけるLIFTの意味について少し考察してみたい。

 

良い点)

・見やすい

⇒単純に見える幅が狭いので、目をあまり動かさなくていい。あと落ちてくるスピードが落ちるので、動体視力を使わなくていい。おっさんには本当にありがたい。今回LIFTがなかったら多分もっと早く脱落していたと思うので、このタイミングでプレイ復帰したのはタイミングが良かった。

 

悪い点)

・LIFT上げすぎるとBPMのズレが大きくなる

IIDXは緑数字を一定にすることで、自動でいつも同じ落下速度を保ってくれる。しかしポップンはHSの数値を毎回変更しなければいけないので、オプションで0.1刻みの倍率をかけて手動で調整することになる。

が、LIFTを上げるとBPMが下がるので、調整がしづらくなる。例えばBPM200の曲があったとする。適正が690だと感じている人は、HS込み680か700で、10のズレを許容してプレイすることになる。しかし同じ人がLIFTを-100にすると適正は470となり、HS込み460か480でプレイすることになる。10のズレは同じだが、表示距離が狭い分表示時間の差がより大きく出てしまう。10遅いとLIFTなし時よりさらに時間が伸びて遅く感じるし、10速いとLIFTなし時より短く速く感じる。

つまり、安定した調整がしづらくなる。

 

とはいえ、総合的に見るとノーツの落下速度自体が落ちるのは大変ありがたい。今後は無理のない範囲でオプションのさらなる拡充がされるといいなと思いつつ、ほんと無理しないで別のところに力を入れてくださいとも思う。

 

(つづく)

ポップンLIFT値設定ツール(β)

 

現在のLIFT値と適正HSを入力すると、他のLIFT値にしたときにどのくらいのHSにすれば「同じぐらいの可視秒数になるか」を調べられるツールです。

憶測と目測でやっているので、内部計算はゲーム仕様と異なっていると思われます。あくまで目安として使用してください。

もう少し詳しい使い方はこちら


《ツール本体》

現在のLIFT値:
適正HS値(楽曲bpm×倍率):
 

LIFT値 適性HS
0
-5
-10
-15
-20
-25
-30
-35
-40
-45
-50
-55
-60
-65
-70
-75
-80
-85
-90
-95
-100

 


《もう少し詳しい使い方画像》

 

この時代なりの生き方みたいなもの〜45ポ④

 

というわけで、とてもポップンミュージック市場は活発ではない。むしろ徐々に終わりに向かっている空気が流れている。

あんなに連コインさせていろいろな仕掛けを用意していたイベントも、現在は連コイン前提ではあるもののそれ以上の工夫はない。

前作解明リドルズでさえ「ヒントから推測する」楽しみがあったが、今作はただプレイするだけ。明らかに工数をかけていない感じがする。

ただ、それが果たして良くないことなのかというと、現状ではそんなに悪くないとも言える。9年前に比べると格段に高難易度の曲数も増え、未プレイ曲をこなすだけでも十分に楽しめる。

以前は、新しい曲が尽きて「それ以外の楽しみ」にコインを消費させる必要があったが、現在はそのモチベーションを課すと重い感じがするのも事実。時々新曲が追加されるくらいで、それ以外は既存曲をプレイしたり練習したりクリアメダルを競ったりするくらいで楽しめるとも言える(もちろんそれは未プレイがまだたくさんある状況でそう思っているだけであり、それが少なくなってきたら別の楽しみがまた欲しくなるのかもしれない)。

この感じはあれだ。音ゲー初期に近いものがある。

あの頃もそういえば隠し曲なんてほとんどなくて、リリースされたらその曲たちを何回も擦り続けて楽しんでいた。それに比べれば現在は既存曲が溢れるほどあるので、より恵まれてはいるだろう。

 

KONAMIの他の音ゲーも、IIDXを除くとあまり元気がないように見える(見えるだけで本当はどうかはまだ僕はわからない)。リフレクビートが何か魔改造の末に自壊したらしいという噂は聞いていたが、ボルテも指もあまり活発じゃない感じに見える。

KONAMI以外の音ゲーは、若者が結構プレイしているようだ(これもやったことないので本当のところは知らない)。だから比べると余計に、KONAMI音ゲーの賞味期限が切れかけているんだろうな、というのは、ゲーセンに行くと何となく感じることができる。

そもそもポップンなんてまだブラウン管の筐体が現役なのだ。どれだけがんばらせるつもりだ。開発も低解像度用の素材作るのめんどいぞきっと(だからこそ新筐体を作ったんだろうけど、それを入れ替えるほどの気力があるゲーセンはあまり多くなかったみたいだ)。

 

まとめると、ポップンミュージックは開発費もかなり落として省エネ的な開発体制に入っていることが窺い知れる。更新の内容の少なさしかり、ロケテストをやめてオンラインアップデートでバージョンを変えていくスタイルしかり、なるべく安く作って長くもたせるという意図が見える。そして、そうすることでゲーセンに低コストでじっくりインカムを稼いでもらうようにいつからかシフトしたのだと思う(それがいつなのかは休んでいたので知らない)。

悪くはない、と思う。

そしてその状態でバランスが取れているなら、つまり開発費と売上(稼働台数✕バージョンアップ代金)を比較して利益が出る、またゲームセンターのコストとインカムを比較して利益が出る、その両方が達成されているならいいと思う。

というか、おそらくそうやって利益が出るバランスでしか続いていかないと思う。インカムが少なくなれば、ゲームセンターが他の台に替えることを検討するはずだし、そうすると次のバージョンが売れなくなる。開発費は減り、更新頻度が下がる。最後には何となくオンラインに繋がったまま更新されないポップンミュージックがいくらか世界に残る。

逆にもし、これから何かが起こってインカムが増えるならば、新筐体が増え、開発費が増え、少しずつポップンミュージックが良くなって行くはずだろうが、想像するにそんなに劇的な変化は起こりづらそうだ。

開発側も、何か今からコストをかけてポップンミュージックを盛り上げようという風になるとも思えず、現在進行中のごちゃまぜmixみたいな、他機種に波及するイベントを実施して何とか全体の底上げをする他ないんだと思う。

 

ならば、友よ。

できることと言ったら、まずはお金を入れて遊ぶこと。と、こうやってポップンミュージックの灯を消さないように何かを発信していくことなんだろうな、と、ここまで書いて気づいた。

ゲーム人生の半分は音ゲーでできているから、何かしたいよなあ、という気持ちがあったんだと思った。いまさら。

 

(つづく)

いずれ消えゆくポップンミュージックのために〜45ポ③

 

さて、なぜいまこんな記事を書いていこうかと思ったかと言うと、表題にあるように、ポップンミュージックがそろそろ終わってしまいそうだからである。

先ごろ「グルーヴコースター」が新しいアップデートを終了するというニュースもあったが、間違いなくゲームセンターという文化は、最近1つの曲がり角を曲がった。

まず、コロナ禍でゲーセン自体が減っている。

私自身、ポップンミュージックを休んでいた9年で、ゲーセンに行ったのなんて数えるほどだからそれも当たり前なのかもしれない。

だが、ポップンをまたやり始めるようになって、以前はあちこちにあったゲーセンが、本当に減ったと痛感している。あそこもない。こっちもなくなった。ここにもあったのに。そんなことばかりである。

体感で7割減ぐらい。元気に見えるのはタイトーステーションぐらいで、逆になんでそんなに元気に見えるのか不思議なくらいである。そのくらい全体的に元気がない。

そして、残ったゲーセンもポップンが置いてない。前にあったところもすでにない。あまりにも昔の記憶が頼りにならず行く先々で置いてないということが多発したので、公式の設置店舗情報を暗記するほどになってしまった。そしてそれは、逆に暗記できるほどに設置店が少なくなってしまったことを意味している。

私は主に東京の西側でプレイすることが多いが、自分以外のプレイヤーを見かけるのは、池袋のラウンドワンか、新宿南口のタイトーステーションぐらいである。それ以外はほぼ独占できる。

しかも、新バージョンUniLabの稼働開始からまだ間もないのにこの状況。一応細々とイベントもやっているのにこの状況。以前ならとりあえず並んで待って何プレイも重ねているプレイヤーがたくさんいたというのに、だ。

もう間違いなくポップンミュージックは終わりかけている。

いや、おそらくずっとプレイしてきた人はここ何年も同じことを感じていただろうと思う。ロケテストも久しくなくなり、他の人にもあまり会わず、企業努力により先細りながらも何とか続いていく状況に安堵し、また不安をずっと感じていたはずだ。

しかし明らかに芳しくない。ここからまた、あの頃のようにポップンが盛り上がることはなさそうだ。この先に見えているのは、初代5鍵beatmaniaのような冷温停止だろうな。

そんな気配ばかりが、誰もいないゲームセンターに漂っている。

 

(つづく)

腕前についてと再開後の道のり〜45ポ②

 

まずはポップンミュージックについて、休止前(9年前)と再開後のスキルと状況を覚えている範囲で書いておく。

 

休止前)

・サニーパーク中期

・難易度47安定で未クリアはシューゲイザー(とハードルネッサンス2)のみ。

・48は半分ぐらい埋まっていて、最後にクリアしたのが謀反トランス。バイキングがあと少しでできない。ヒップロック3できないぐらいの感じ。

・49以上は時々できる程度。プロバロが微妙に追いつかないぐらいの感じ。

地震でぐらぐらとふわふわラインを付けて、S乱でハイパンクをやるのが好きだった。上記のオジャマありで46は余裕。

・HSは600が適正。早いと見えなくなる。

 

9年後)

・解明リドルズ末期

・43で難しく感じるほど衰えていた。

・数回のプレイで、45までは何とかだいたいクリアできるようになったが、46は半分以上落とす。

・HSは550ぐらいまで落とさないと認識が追いつかない

 

と、いった具合に、再開後はマジで全然脳も指もついていかない。

まずノーツが見えなくなっているし、手も全然動かない。昔の記憶で選曲すると全然できなくて絶望することもしばしばであった。

あんなに酔った状態でもクリアできていたジャパメタがこんなにできないなんて!

 

私は地道に45を埋めていくところからはじめることにした。それが3ヶ月前のこと。

で、現在はこんな感じ。

 

2022年11月現在)

・UniLabからLIFTができたので、以前やっていたころはIIDXでも使っていなかったが導入してみることに。

・LIFT−55、HS480がちょうど良いと感じるので、現在までこの設定でプレイしている。

・クリア状況は大きく改善し、46全埋め、47初見8割はクリアできるようになった。

・9年前を100とすると、90弱ぐらいまで戻ってきた感じがする。

 

で、思ったこととしては、節度を守ればそんなに疲れないし、45歳でも十分プレイできるということだ。

前回書いたように、基本的な体力は衰えているし、動体視力ももちろん衰えた。さらに自律神経症状が出かねないため、慎重にプレイを始めて無理をしないことを心がけている。

 

「身体的な衰え」に対しては、

・開始前に肩と背中のストレッチをする

・一曲目は44ぐらいから開始して、いきなり負荷をかけないようにする(徐々に温めていく)

・プレイ中もなるべく力を抜くように心がける

・曲間に腕をリラックスさせる、プラプラ動かして緊張を取る

 

「視力の衰え」に対しては、

・LIFTを使用することで、流れる速さを遅くして視線をあまり動かさなくても良いようにする

 

「自律神経」に対しては、

・多くても4プレイを最大にして、精神的な負荷をかけ続けないようにする

 

などの工夫をして、加齢等によるマイナスとうまくやっていくことで、十分に楽しめることに気づいたわけだ。

 

で、とても重要なことだが、この感覚は何でも一緒だなあと。

歳を取ったらだいたいのことは衰える。運動能力も落ちるし、認識能力も落ちるし、あちこち痛くなるし。それで嫌になって、やらなくなることも多い。

歳を取って、ロックを聞かなくなったとか、昔みたいに酒を飲めなくなったとか、加齢を憂うことはとても簡単だけれど、それと良い付き合い方を考えてやっていけば、いつまででも楽しむことはできる。

 

すごーく、年取ったなあという考え方だと思うし、若い自分が見たらたぶん幻滅すると思うが、しかしそれが今の気持ちだし、おそらく正しいと確信している。

 

(つづく)