批評(ex.goma油)

批評(ex.goma油)

趣味の批評をしてみたいと思いました。

もしあと一曲

 

僕は、新しい刺激を受けると、しばらく疲れてしまうタイプである。

 

今日もうれしい反面疲れる出来事があり、やる前から疲れるとわかっているけど楽しいのは間違いないのでやってみたら、案の定メランコリーだ。

 

メランコリー。ゆううつ。

 

まあ楽しかったからいいんだけど、どうやら他の人より疲れを引きずるので、あと数日は疲れているだろうと思う。

 

 

そんな時、ある曲が頭の中で再生された。

僕の脳内再生リストでは定番の曲で、発表当時から現在まで、何千回も鳴っている。

 

ホフディラン『欲望』

 

ベイビーの後ろで一歩引いていた小宮山雄飛が、一転前に出て、それまでのホフディランのイメージを変えようとした時期があった。その時作られた一連の楽曲の中で、僕が一番好きなのが、この『欲望』という曲だ。

そして僕は今日、突然、人生の一曲を選ぶならこの曲だと思ったわけなのだ。

 

 

何度も聞きかえす名曲はいくらでもある。

かけがえのない人生の1ページになっている曲も、たくさんある。

たぶんそんな曲たちを集めたら、何枚もCDが作れるだろう。

 

 

でももし、残りの人生であと一曲しか聞けないとしたら?

 

僕は迷わずこの曲を選ぶだろう。

 

とにかくまずは詞が好き。聞き返すたびに勝手に深みを帯びる、孤独で普遍的、エモーショナルでメランコリックな詞。

 

曲のテンポ感もいい。雄飛の伸びやかな声質にとても合っている。

 

また、PVも素晴らしい。水泳の授業の妙な気だるさが曲にぴったりである。

 

 

でも、この曲が僕にとって特別な理由は何だろうかと考えてみると、良くわからない。

 

 

良くわからないけれど、間違いなく僕の人生の一曲であると言い切れる。

 

 

そんな曲がみんなにもあるのだろう。

 

 

 

 

共有できない自分の唯一性、その背後にある生の一回性。

 

 

 

みんながそんな一曲を持っていると想像すると、存在に直接触れるような、裏返された奇妙な実感を得る。

 

 

そんな夜だ。